
ハンドメードが好きな個人やハンドメード専門の企業が集まるイベント「ハンドメイド・メイカーズ2017」が11月10~12日、パシフィコ横浜(横浜市西区)で行われる。オリジナルにこだわったファッションやアクセサリー、アート、フードなど約600のブースが出店される。アクセサリー作家として出品する県内在住の二人に、イベントに参加する楽しみを聞いた。
同イベントは日本ホビー協会(東京都)の主催。手作りでビジネスを目指すクリエーターを支援するために、昨年立ち上げた。
かつて手作りというと素朴だったり、やぼったかったり、というイメージがあったが、現在は全く異なる。センスのいい一点物を積極的に求め、作り手の世界観に共感するファンといった買い手の存在も大きい。
広報を務める野島直子さん(49)は「ハンドメード業界を活性化させるには、クリエーターを増やしていくのが唯一の道。企業とクリエーターを同じ土台に載せたい」と話す。
出店ブースには、自身の商品を販売するクリエーターや素材などを販売する企業が並ぶ。趣味をビジネスにつなげるセミナーや手作り体験のワークショップもあり、子どもから大人まで楽しめる盛りだくさんな内容だ。
内田まいこさん(37)=相模原市中央区=の前職はネイリスト。右手の神経を痛めて長時間の接客が難しくなり、1年半ほど前に自分のペースでできるアクセサリー製作を始めた。会社員の夫の勧めもあったという。
「Number.13」というブランド名で、金属のパーツや天然石、革、コットンパールなどを組み合わせたブローチやイヤリングなどを手掛ける。
子どものころから手芸が好きで「自分の好きなものを作っている」と独学。普段は、ネットショップと公園や商店街で開催されるイベントで販売している。

内田さんは、昨年もハンドメイド・メイカーズに参加。「お客さんと直接やりとりできるのが楽しい。ピアスからイヤリングにその場で付け替えたり、品切れしたものを後で送ったりしている」と話す。
「自分が好きなデザインが好まれるのか、直接意見を聞けるのがいい。違いが分かると意外に面白い点もある」と利点を挙げる。
作家歴8年の篠原さおりさん(44)=伊勢原市=は、布花を使ったアクセサリーの講師として手芸スクールで教え、ショップに委託販売も行っている。ブランド名は「Lotus Ring」。東京で開催される日本ホビーショーなどにも参加してきた。
布花とは白い布を花びらの形に切り、染めて、1枚ずつこてを当てて花を形作るもの。独学でマスターしたという篠原さんの作品は優しい色合いで、ロマンチックな雰囲気が漂う。

篠原さんは10歳、8歳の子を持つ母でもあり、「子どもが小さいときは、幼稚園に行っている間やお昼寝中などに作業していた。イベント参加時は、家族の理解が必要」と話す。
今回のハンドメイド・メイカーズには、選抜された実力のある作家たちが出店するマルシェセントラルというエリアで参加する。タティングレースというレース編みの作家と一緒に、ウエディングをテーマにした展示も行う予定だ。こうしたコラボレーションは「自分ができない分野を相互に補うことで幅が広がる」という。
出店料を払うのである程度の売り上げは必要だが、「売れるものにとらわれると、自分の好きなものが作れなくなる」と二人。
篠原さんは「作ったものを誰かが喜んでくれるのが自分の喜び」といい、内田さんも「『このまま着けて帰る』と言われると、一番うれしい」とほほ笑んだ。
同イベントの入場料は3日間有効で1200円。前売り1000円で各プレイガイドで発売中。小学生以下は無料。横浜捺染(なっせん)の職人集団「ギルダ横濱」による実演やタレントの篠原ともえさんのトークショー、千秋さんが企画したセレクトショップ「ハローサーカス」なども行われる。問い合わせは運営事務局電話03(5206)5499(平日午前10時~午後6時)。