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亡き生みの母との思い出求め 横須賀出身の米国人女性来日

話題 | 神奈川新聞 | 2019年10月4日(金) 18:43

どぶ板通りを歩くバーバラさん(右)と木川さん=3日、横須賀市本町

 今は亡き生みの母との思い出を追い、5歳のときに国際養子縁組で渡米したバーバラ・マウントキャッスルさん(71)が来日し3日、生まれ故郷の横須賀市を訪れた。「日本を離れるときは悲しくて泣いてばかりいたが、きょうの涙はうれし涙です」とバーバラさん。4日から母を知る人と会ったり、東京都八王子市に眠る母の墓参りをしたりして自身のルーツをたどる旅に出る。

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 バーバラさんの日本での戸籍名は、木川洋子(ようこ)。同市秋谷で1947年11月、日本人の母信子さん、米兵とみられる父の間に生まれた。


米兵の養子になって間もない頃のバーバラさん=1953年ごろ
米兵の養子になって間もない頃のバーバラさん=1953年ごろ

 当時は「混血児」への差別が横行した時代とも重なる。信子さんは1人で育てていたが、日々の生活に窮していたという。

 バーバラさんは幸保愛児園(葉山町一色)に預けられ、その後、同園を介して別の米兵の養女に。「いつか必ず迎えに行くから」との母の言葉を支えに53年の夏か秋ごろ、5歳で米国に渡った。


5歳ごろのバーバラさん(左)と養母のルース・アンヌ・シネックスさん、双子の弟=1953年ごろ
5歳ごろのバーバラさん(左)と養母のルース・アンヌ・シネックスさん、双子の弟=1953年ごろ

 それから60年余りたった2018年8月。米テキサス州で家族と暮らしながらも母の面影を忘れられないでいたが、「木川」という同じ姓が縁で知り合った和歌山大准教授の木川剛志さん(43)がその思いに応えて事態は動く。木川さんの調べで、信子さんは八王子市に移って日本人男性と結婚した後、1987年3月に61歳で亡くなっていたことが分かった。

 それでも、母との思い出を取り戻したいとの気持ちは変わらなかった。木川さんがインターネットで来日費用を募り、バーバラさんは息子のジェイソンさん、娘のシャーナさんとともに念願の来日を果たした。

 滞在は8日までで、3日は上地克明横須賀市長と面会。4、5日は同市秋谷を訪れ、思い出の場所を巡ったり、母を知る住民と交流したりする予定で、「秋谷を歩いて、優しかったお母さんとの思い出を確かめたい」とバーバラさんは期待する。


会見するバーバラさん(中央)と息子のジェイソンさん(右)、娘のシャーナさん=横須賀市役所
会見するバーバラさん(中央)と息子のジェイソンさん(右)、娘のシャーナさん=横須賀市役所

 6日には、東京都八王子市に赴き、今回の来日で一番の目的という母の墓参りをする。「心配してばかりだった」という母には、こう伝えるつもりだ。「私は、大丈夫」

 バーバラさんの旅は、木川准教授がドキュメンタリー「Yokosuka 1953」に収める予定。木川准教授は生前の信子さんの写真など、情報提供を呼び掛けている。

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