
昨秋、来日75周年を迎えた台湾少年工の歴史や関係者の交流などをまとめた記念誌「日台の固い絆 台湾高座会」が、このほど完成した。
作成したのは昨年10月に大和、座間市内で催された周年行事で実行委員長を務めた石川公弘さん(85)ら関係者10人。石川さんは高座海軍工廠(こうしょう)(座間、大和市)で航空機技術を学ぶために来日した約8400人の台湾少年工が暮らした大和市内の寄宿舎の管理者を父親が務めた縁で、「高座日台交流の会」会長として日台親善に尽力してきた。
昨年10月の周年行事には元少年工20人らが参加。地下工場跡が残る座間市の芹沢公園に顕彰碑が建立され、大和市の複合文化施設シリウスで歓迎大会が行われた。ただ、元少年工の平均年齢が90歳を超えたことから、来日50周年以降、4回目となった今回の周年行事を最後とすることにした。
こうした事情から、記念誌はこれまでの日台交流をまとめた保存版として作成された。A4判で289ページで3千部発行。台湾高座会の李雪峰会長ら元少年工6人が寄稿、過去の周年行事や相互訪問の交流活動などを収録した。元少年工の会員が高齢化し、交流活動を引き継ぐ子や孫世代は日本語が分からないため、中国語を併記している。
石川さんは「今回の編集作業を通じて、帰国した元少年工の苦労など、まだ伝えなければならない事実が残されていることを痛感した」と話している。