
今夏に佐賀県で開かれた「全国高等学校総合文化祭」の郷土研究部門で、サレジオ学院高(横浜市都筑区)文芸部歴史班の「相模大山の神仏分離」が最優秀賞に選ばれた。古くから山岳信仰の対象とされた大山(伊勢原市)に、信仰を広めて回る「御師(おし)」(明治期に先導師と改称)が今なお多く存在する理由を、明治期の神仏分離令から読み解く内容。新しい視点と丹念な研究内容が評価され、全国21校の頂点に輝いた。
研究を手掛けたのは、3年生の向阪大雅さん(18)と田中良征さん(18)、2年生で部長の伊藤慧人さん(17)。
3人は2017年9月から大山に通って研究を進め、昨年春に冊子「大山信仰」をまとめた。活動を通じ、大山では現在も46軒の御師がいるが、かつて盛んだった静岡県や三重県では皆無に近いことを知り、その疑問が今回の研究に発展した。
主に田中さんと伊藤さんが歴史の研究を担当。12軒の御師を訪ねて話を聞いたり、資料を借りて読み込んだりして御師と神仏分離の関係を探った。資料から新たに発見できた事実もあり、田中さんは「好奇心を支えに、時代を絞りながらまっすぐ(研究を)進められた」と話す。
その結果、大山では御師が神仏分離を断行し、大山寺の体制が崩壊。その後阿夫利神社を中心とした新たな支配体制を確立し、さまざまな改革を行ったことが現代まで続く基盤になったという結論に至った。発表資料の作成を手掛けた向阪さんは「内容はもちろん、3人で研究ができたことがよかった」と振り返る。
最優秀賞受賞は、研究に協力した大山や伊勢原市内の関係者も喜んだという。伊藤さんは「結果には実感が湧かないところもあるが、今回の経験を元に後輩にも調査手法を伝えたい」と話している。
研究内容は、「サレジオ学院 文芸部歴史班」のホームページで見ることができる。