ロングセラー絵本「わたしのワンピース」などを発行する「こぐま社」編集長の関谷裕子さんの講演会が15日、神奈川近代文学館(横浜市中区)で開かれた。わたしのワンピースを手掛けた絵本作家西巻茅子さんとの関わりや、同社の絵本作りの精神などについて語った。
同社は1966年創業で、関谷さんは79年に入社。西巻さんとは40年近く仕事を共にし、「『絵が分からない絵本の編集者は駄目。いい絵をたくさん見なさい』と何度も言われた」などとこれまでのエピソードを紹介した。
わたしのワンピースについては関谷さんが読み聞かせた時、「いいにおい」という文章があるページを、娘が実際にかいだという思い出を披露。「絵本から匂いまでするのか、と驚いた。この作品のすごさを教えてくれたのは子どもたち」と話した。
また、「手作りの温かさを届けたい」といった同社の絵本作りの柱や、リトグラフの技法を使う手間をかけた絵の彩色なども解説。「創業時期の絵本は、その時代のエネルギーを吸収していると思う。今は不安定な時代だが、確かな財産を子どもに伝えつつ、明るい気持ちで絵本を作りたい」と締めくくった。
講演は、同館で開催中の「西巻茅子展」の関連事業として行われた。