横浜開港当時、輸出品として盛んに制作された漆芸技術を現代に伝える「横浜芝山漆器展」が4日、横浜市中区の岩崎ミュージアムで始まった。16日まで。
横浜芝山漆器研究会と同ミュージアムの主催。漆器工芸師で横浜マイスターの宮崎輝生さん(83)と同会会員の作品約160点が並ぶ。
同会では貴重な工芸技術を継承しようと定期的に講習会を行い、宮崎さんと漆芸家で同会会長の赤堀郁彦さん(82)が指導に当たっている。
横浜芝山漆器は、貝や象牙、サンゴなどに動植物などをかたどって彫刻した細工物(芝山)を、器物の表面を彫ってはめ込む。立体的に仕上がるのが特徴だ。
宮崎さんは祖父の代から芝山を手掛ける芝山師の家に育ち、小学5、6年のころから技術を習い始めた。
「かつては芝山師、器を作る木地師、漆を塗る塗師などの分業だったが、今は職人がおらず、本来のかたちの横浜芝山漆器はなくなってしまった。貴重な加工技術なので、何とか残していきたい」と宮崎さん。
「会員の皆さんは一生懸命やっている。こういう材料でここまでできるんだなと見に来てほしい」と来場を呼び掛けた。
午前9時40分~午後6時(最終日は同5時)。9日休館。一般300円。問い合わせは、同ミュージアム電話045(623)2111。