
今年で没後500年を迎えた小田原北条氏の初代・早雲(伊勢宗瑞、新九郎)を語るイベント「伊勢宗瑞~漫画家と歴史家が語る北条早雲」が1日、小田原市民会館(小田原市本町)で開かれた。
イベントは、宗瑞の没後500年顕彰事業の一環。月刊スピリッツで「新九郎、奔(はし)る!」を連載しているゆうきまさみさん、週刊ヤングマガジンで連載中の「センゴク権兵衛」で北条5代を描いた宮下英樹さんの漫画家2人と、NHK大河ドラマ「真田丸」で時代考証を担当した歴史家の黒田基樹さん(駿河台大教授)、小田原城天守閣館長の諏訪間順さんの2人が出演した。
前半の黒田さんと諏訪間さんの講演では、浪人出身で戦国の梟雄(きょうゆう)という従来の通説を否定し、名門・伊勢氏の出身で室町幕府の官僚だったとする最新の研究成果などを紹介した。
後半のトークセッションにはゆうきさん、宮下さんも登場。作中の宗瑞について、ゆうきさんは「野心的でも英雄的でもなかったのでは」と捉えたのに対し、宮下さんは「紙幅がなくて従来の超人的な宗瑞を描くしかなかった」とし、超人的な人物像としてソクラテスをモデルとした外見にしたことを明かした。
両作品とも連載中とあって、今後の展開の紹介で、ゆうきさんが史実では確定していない武将・太田道灌との対面について「会わせます」と宣言すると会場から拍手が湧いた。宮下さんは現在の小田原合戦編を「開城まで結構時間をかける」と見通しを話した。