
横浜市中区を中心に、暮らしに密着した地域情報を放送するコミュニティーFM「マリンFM」(86・1メガヘルツ)が26日、開局した。東日本大震災を契機に、住民が求める情報をきめ細かく提供する地域ラジオ局の必要性を痛感した市民らが準備を進め、6年かけて開局が実現した。新しく船出した同局は「住民や地域、行政などのよりよいコミュニケーションを目指したい」と意気込んでいる。
マリンFMの拠点は、本牧リボンファンストリート商店会(同区)が運営するコミュニティーカフェ「HOMMOKUBASE(ホンモクベース)」内のスタジオ。横浜マリンエフエムの社員やボランティアスタッフら約30人で運営し、24時間放送する。
情報生番組のほか、防災インフォメーションや音楽、趣味の番組など、多彩なプログラムを提供する。中区と防災協定も締結し、いざというときは行政の防災放送を流す。
同社社長で、開局に向けて奔走してきた笹原延介さん(53)は、「これまで周囲に『開局する』と宣言してきた。信じて付いてきてくれたスタッフや支えてくれた地域、商店街などに感謝したい」と笑顔で話す。
笹原さんは東日本大震災の約3カ月後、福島県の被災地を訪れ、コミュニティーFMの重要性を目の当たりにしたという。「大手系列のラジオ局は被害状況などは放送するが、給水車がどこに来るかなどの知りたい情報は、コミュニティーFMが流した。横浜でも必要と思った」と振り返る。
その後、笹原さんは2013年に横浜マリンFM開局準備室を開設。地域の協力を得ながら独自の情報をインターネットで公開するなどし、準備を進めてきた。
支援者の出資金などで運営するため、資金は決して潤沢ではない。スポンサーを積極的に募っており、スポットCMは「イベントの宣伝などで気軽に使ってもらえるよう」(笹原さん)に3千円と低価格に設定するなど、工夫をこらす。
今後に向け、笹原さんの目標は「続けること」。「皆さんの協力を得ながら、人と人や人と地域、行政などをつなぐ放送局を目指したい」
問い合わせは横浜マリンエフエム電話045(623)9000。