横浜開港資料館の元調査研究員、斎藤多喜夫さん(70)が、開港期の横浜で始まった外国人居留地からの文化移転をまとめた研究本「幕末・明治の横浜 西洋文化事始め」(明石書店)を出版した。
ホテル、肉食、娯楽やスポーツなど幅広い分野で貪欲に西洋文化を吸収したのは多くの庶民たちだった。予備知識がないまま居留地に飛び込み、新文化を貪欲に吸収していった。
斎藤さんは現役時代、「横浜もののはじめ考」(横浜開港資料館、1988年)の編集に携わった。新たに見つかった史料や事実を交えて検討を重ね、気軽に読めるように項目別で構成。関係年表や人名索引も加えた。
例えば、外国人によって開かれた牧場で働きながら知識や技術を学び、横浜で独立する日本人がいた。日本人最初の搾乳業者は前田留吉とされているが、その牧場の存在を証明する当時の史料はない。師事をした外国人は誰で、どこに牧場があったのか-。二つの説を巡る真偽を新史料から徹底的に検証している。
A5判、388ページ。3024円。主要書店で販売中。