71回目の鎌倉花火大会が10日夜、鎌倉市の由比ケ浜・材木座の両海岸で開かれた。海岸から約1・5キロ離れた市役所屋上には、障害者向けの専用観覧席を用意。混雑などを理由に会場へ行けない車いす利用者とその家族ら約40人が、夜空を彩る約2500発の大輪に酔いしれた。
障害者にも夏の風物詩を楽しんでもらおうと、市は2017年に専用席の設置を試行。好評だったため18年から正式な取り組みに位置付けた。市障害福祉課によると、今年は市内在住で障害のある8~87歳が参加した。
心臓を患う渡辺啓治さん(85)と、両膝が悪くつえを利用する敏子さん(87)夫妻は「人混みに行けないので、近くで花火を見たのは初めて。ダイナミックで感動した」と笑顔。夫妻を誘って訪れた長女(53)は「家の窓から少し花火をのぞくことしかできなかった両親へ、最高のプレゼントになった」と喜んだ。
大会は、市や市観光協会などでつくる実行委員会の主催。同協会によると約13万人が訪れた。