ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル(横浜市西区)の従業員が異文化などについて教える授業が、神奈川大学(同市神奈川区)で行われている。世界各国からの宿泊客に対応する現場スタッフの生の声を聞くことで、外国語学部の学生を「真の国際人」に育て上げるのが狙い。一線で活躍する社会人の話に、学生たちも刺激を受けているようだ。
「2021年に迎えるホテル30周年の記念プランを考えてみましょう」
6月25日。教壇に立った同ホテル人事部研修担当支配人の朝倉ゆり恵さんが、50人ほどの学生に課題を与えた。
宿泊、レストラン、宴会など部門は問わない。ただし、ビジネスとして成功する見込みがあるかも考え、必ず全員が発言し、3回の講義でプランをまとめて発表するよう指示。グループに分かれた学生たちは、会員制交流サイト(SNS)を活用した企画など意見を出し合った。
同ホテルが立地するみなとみらい21(MM21)地区に、同大が21年に新キャンパスを開校予定との縁もある2者は18年4月、グローバル人材の育成などを目的に協定を締結。外国語学部での授業はそれに基づく取り組みの第1弾で、同ホテルが人材やノウハウなどを提供する「寄付講座」と位置付けた。4月から7月までの全14回を予定し、本城明総支配人を含め、各部門の部門長らがリレー形式で請け負う。
ホテルやサービス業界に関心がある外国語学部3年の学生(20)は「普段、社会人から直接話を聞く機会がないので、貴重な経験。ぼんやりと思い描いていた将来の夢に近づけた」と話した。兼子良夫学長は「理論を超えた実践を学ぶのが目的。新たな時代に対応する国際的な感性やコミュニケーション能力を養い、真の国際人を育成したい」と意気込んでいる。