将来の顧客となる子どもたちを取り込もうと、秦野市の中栄信用金庫が小学生以下の子どもたちを対象とした会員制サービス「なかしんキッズ倶楽部」を昨年設立し、今年から子ども向けのイベントを開いている。24日には人気の日本航空の旅客機整備工場を見学するバスツアーを初めて企画。人口減を見据え、若い世代に親しみを持ってもらおうと意気込んでいる。
市の人口は2009年の17万207人をピークに減少に転じ、8月1日現在で16万5953人になった。43年後の60年には約12万7千人に減る見通し。
こうした状況を受け、同信金はなかしんキッズ倶楽部を16年8月に設立。秦野、伊勢原など同信金の営業エリア在住で、口座を持つ小学生以下が入会でき、会員とその家族向けにイベントや金融教室を開催する。会員数は約850人で、金利優遇などの特典も設けている。
今年3月、第1弾イベントとして、地元にキャンパスのある東海大と連携。同大教授による体験型の科学教室を開いた。
24日のバスツアーは第2弾イベント。小学生と家族77人が参加し、観光バス2台で、羽田空港(東京都)に隣接する日本航空の整備工場を見学した。整備中の機体だけでなく、空港を離着陸する旅客機も身近に見ることができるため、「予約開始から数分でいっぱいになる」(同社)ほどの人気見学コース。参加者は夢中でスマートフォンのカメラのシャッターを切っていた。
子ども2人と参加した秦野市の山口理奈さん(42)は「夫が自営業でなかなか休みを取れない。普段は行けない場所に手軽に行けるのはありがたい」と喜ぶ。同信金は「今後も魅力的な企画を打ち出し、子どもたちに『なかしん』に親しみを持ってもらいたい」と話している。