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東光寺薬師堂を再建へ 秦野、老朽化で解体

話題 | 神奈川新聞 | 2019年5月31日(金) 15:00

解体前の薬師堂。その前に立つのは法嗣の樋口亮翔さん=秦野市南矢名
解体前の薬師堂。その前に立つのは法嗣の樋口亮翔さん=秦野市南矢名

 江戸初期に建てられたとされる東光寺薬師堂(秦野市南矢名)が、再建されることが決まった。老朽化により倒壊の恐れが出てきたためで、今月から解体が進められている。新たな薬師堂の完成予定は来秋。関係者は歴史的な建物が姿を消すことを惜しみつつ、「みんなが集まれる場所になってほしい」と期待も寄せている。

 法統の跡継ぎである法嗣(ほっし)の樋口亮翔さん(40)によると、薬師堂は、徳川家康が江戸幕府を開いた1603(慶長8)年に建立されたと伝わる。1892(明治25)年には住民や市外からの寄付で大改修があり、その後、かやぶき屋根を金属の板で覆うなどの措置が施された。

 ただ、長年にわたって風雨にさらされたことなどにより、老朽化が進行。薬師堂は建物が傾くなどしており、倒れる可能性が指摘されていた。

 10年ほど前に、内部に安置していた市指定重要文化財の木造薬師如来立像や、木造聖観音(しょうかんのん)菩薩立像を近くの東光寺に移動。今月の解体前には、江戸期の作と伝わる木造十王像や十二神将像も別の場所に移した。


薬師堂に納められていた木造十二神将像。貴重な文化財が多い=秦野市南矢名の東光寺
薬師堂に納められていた木造十二神将像。貴重な文化財が多い=秦野市南矢名の東光寺

 樋口さんは「当初は改修する予定だったが、予算がかかるため、悩んだ末の決断」と話す。檀家と住民の寄付を得て再建を決め、今は広く市民からも寄付をお願いしている。

 新築工事は来年10月末に完成予定だ。一方、昨年に秦野市指定重要文化財に指定された「仁王門」については状態が悪くなく、改修などは考えていないという。

 樋口さんは新たな薬師堂の姿について「みんなが集まれる場所」と思い描き、「座禅会や音楽演奏会を開くなどして、地域活性化に取り組んでいきたい」と夢を膨らませる。大総代(70)は「歴史ある建物を壊すことは残念だけど、最後のチャンスかな。さみしくて、つらい気持ちでいっぱい。でも建物が倒れてからでは遅い。地域の交流の場となってほしい」と願った。

 
 

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