民泊、体験農業を検討
地域振興を目的に修学旅行の誘致を目指している大井町相和地区の住民らが一般社団法人「神奈川大井の里体験観光協会」を設立した。民泊を行いながら体験農業をするプログラムを検討。地元ではすでに少人数の民泊受け入れを行っているが、将来的には200人規模の受け入れを目標とする。足柄上郡の他町でも民泊を模索する動きが出ている中、同協会は「上郡の先陣を切りたい」と意気込む。
同協会は、地元で民泊や体験プログラムに取り組んできた相和もりあげ協議会や、相和地区活性化委員会のメンバーで3月下旬に設立。地元で活動する住民団体も参加している。
相和地区は自然豊かな里山だが、若者が大学進学や就職時に町外へ転出して過疎化が進み、農家の高齢化や人手不足で果樹園や畑などが遊休化している。
地元住民らは、体験学習を取り入れた修学旅行を誘致して活性化した沖縄・八重瀬町に着目。同町を指導したNPO法人自然体験学校理事長の若林伸一さんをアドバイザーに迎え、準備を進めている。体験農業で多くの人を呼び込むことで、人手不足を解消し、農家の収入増にもつなげようというのが狙いだ。
2017年に発足した同協議会は、ミカンやサツマイモ、キウイ、クリ、カリンの収穫体験イベントなどを開催し、都市住民を呼び込んできた。また、大学生や近隣の子どもたちの民泊も受け入れ、運営スキルを積んできた。
今回の一般社団法人化は同協議会などを設立した当初の予定通りで、夏苅静男会長は「これからは対外的に(修学旅行の)仕事をとっていく」と話す。実際の営業活動はまだ先で、まずは体験プログラムの磨き上げと協力住民の増加に取り組む。
修学旅行で200人規模が民泊するには80軒ぐらいの家庭が必要とみるが、現在の協力家庭は20軒足らず。同協会は今年中の目標達成を目指している。実際に活動しているのもまだ一部の住民だけで、取り組みを知っている住民は少ない。「民泊も初めは他人が泊まることを警戒しても、やってよかったという家庭がほとんど。一度やってみれば分かる。粘り強く説明していきたい」と夏苅会長。早ければ21年の修学旅行受け入れを考えている。
民泊については国の後押しもあり、足柄上郡の他町でも検討が始まっている。夏苅会長は「沖縄では広域で運営しており、上郡でもできるのでは。まずは地元で仕組みをつくり、先陣を切りたい」と意気込む。
大井町も「多くの人が訪れることで相和地区の交流人口が増え、定住化や路線バスの増発につながれば」と期待している。