川崎と沖縄のつながりを培ったゆかりの文化人の足跡をたどる展示会が、川崎市川崎区の川崎信用金庫本店で開かれている。沖縄の風物や文化を伝えた詩人で作詞家の佐藤惣之助(1890~1942年)らの功績をたたえ、100年に及ぶ「絆」の存在を紹介している。15日まで。
川崎生まれの惣之助は大正時代の1922年、本土でほとんど知られていない沖縄を訪問。景観や言葉、歌について記した「琉球諸島風物詩集」を刊行し、その魅力を伝えたことで知られる。
展示では、同じく川崎出身で陶芸家の濱田庄司(1894~1978年)と、元市教育委員会嘱託の古江亮仁(1915~2001年)も紹介。濱田は沖縄の壺屋焼に魅了され、後に人間国宝第一号となった。古江は戦後間もなく、沖縄の民俗芸能を無形文化財に指定するよう市を導いた。
友好都市である那覇市には古江の呼び掛けで建立された惣之助の詩碑があり、陶板は濱田が制作した。展示会を主催した「サトウソウノスケの会」代表で川崎沖縄県人会会長の比嘉孝さん(72)は「3人は沖縄との絆をいまも結んでくれる恩人。素晴らしい文化人であるにもかかわらず、知らない市民も増えた。紹介することで恩返しができれば」と話している。
午前9時~午後5時。無料。