海老名市の彫刻家、中垣克久さん(75)が制作した「9条改憲後の国旗」やオリンピック批判を展開する作品を展示するグループ展「現代造形表現作家フォーラム展」が10日まで、東京都美術館(台東区)で開かれている。中垣さんは「造形で(社会問題を)喚起したい」と話している。
作家22人が38点を出展。中垣さんの作品は、日本の生と死や平和などを考える連作「時代(とき)の肖像」の新作2点で、「9条改憲に伴う新しい日本国旗の制定」と「競争文化の埋葬」。憲法9条という「日本の財産」の改定に意欲を燃やす安倍政権への批判と、弱者を切り捨てる競争文化への疑問をそれぞれ込めた。
「競争文化の埋葬」は縦70センチ、横180センチの棺に、大小さまざまな五輪や割れたメダルの模型が、造花とともに葬られるようにあしらわれている。棺には、国家がメダル数を争うオリンピックを「ナショナリズムを生む絶好の温床」などと指摘する「近代オリンピック不要論」を記した紙も貼られている。
中垣さんは東京への開催地選定をめぐる疑惑などに触れ、オリンピックについて「金まみれと不正の温床だ」と話している。