「聖ヨゼフ病院」(横須賀市緑が丘)の新病院棟が来年3月、稼働する。敷地内に建設中の新棟に、築80年で老朽化している本館の全機能を移す。同病院はこれまで、内科と整形外科を中心に地域の高齢化に貢献してきたが、リハビリや在宅復帰に向けた回復期医療を充実させる。
運営する社会福祉法人聖テレジア会によると、本館東側に建設される新棟は、病院棟とエレベーター棟で構成。病院棟は地下1階地上5階建てで、延べ床面積は現在の本館とほぼ同規模の7992平方メートル。
昨年4月、本体工事に着手。来年2月に完成し、3月の開院を目指している。コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)なども最新設備に更新し、総事業費は50億円を見込む。
現在の本館は1939年、旧日本海軍が手掛けた横須賀海仁会病院の建物で、谷戸の湾曲部の地形に合わせた凹曲型が特徴だ。ただ配管を含めて老朽化が激しく、4病棟182床の許可病床のうち、8割程度の144床しか稼働していなかった。
新棟完成後は182床全てを稼働させ、現在の一般、地域包括ケア、療養の3病棟に加え、回復期リハビリテーション病棟を開設する。三浦半島で圧倒的に不足する回復期医療を充実させ、急性期を担う横須賀共済病院(同市米が浜通)など近隣医療機関との連携も強化する。
また在宅部門を担う訪問看護ステーション、訪問ヘルパーステーションなども新棟内に併設し、医療・介護の連携を拡充する。
スタッフは現状の約260人から約330人に増員。本館は新棟に機能移行後、解体して病院利用者の駐車場スペースを広げる。
同病院は「カトリック精神を基盤に、70年間続けてきた優しい医療を継続しつつ、高齢化していく地域の医療ニーズに適切に対応していきたい」としている。
聖ヨゼフ病院 前身は旧日本海軍の軍人と家族向けの横須賀海仁会病院。1945年の敗戦と同時に、米海軍に接収され、当時の米海軍横須賀基地司令官デッカー大佐が一般市民に開放することを決定。キリスト教精神を持って経営することを望み、46年に聖ヨゼフ病院になった。