横浜市中区の山下公園前で係留、公開されている日本郵船氷川丸が20日、1930年の竣工(しゅんこう)から89周年を迎える。国の重要文化財で、戦前の日本で建造され現存する唯一の貨客船として、多くの人たちにさらに親しんでもらうことにしている。
船大工技術で改修
3月末には、ナビゲーションブリッジと呼ばれる船橋(せんきょう)の改修工事が完了。床のチーク材を張り替えるなど、竣工当時の姿に近い形に復元され、公開された。横浜の船大工が培ってきた技術を生かし、長年の風雨にさらされて傷んだチーク材の窓枠や手すりなども修繕したという。
20日は入館無料にするほか、先着890人に特製クッキーをプレゼントする。船内で練習する横浜少年少女合唱団が歌声を披露することにしている。
氷川丸は、横浜・桜木町近くにあった横浜船渠(せんきょ)(現・三菱重工業)で竣工。日本と北米を結ぶ北太平洋航路などに就航し、戦時中は病院船、戦後は復員船や引き揚げ船として使われた。1960年に引退し、翌年から山下公園前で係留されている。問い合わせは、氷川丸電話045(641)4362。