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ラコルタ カフェ プラス ベーカリー(大磯)
思い立ったらパン日和〈166〉 季節感、味わい、作り手の個性を楽しむ

話題 | 神奈川新聞 | 2016年9月18日(日) 10:34

 大磯の静かな住宅街の一角、欧風の外観もすてきな一軒家のカフェ&ベーカリー。駅から歩くと30分、バスを使えば10分と、決して便利な場所ではないが、遠くからわざわざ訪れる人もいる。というのも、パンを買うだけでなく、店内のカフェでランチやデザート、コーヒーなどをゆっくり楽しむことができるからだ。

 店主にして接客を務める長瀬洋行さんは、以前東京でイタリアンレストランを経営。「そろそろ母親の近くに住む年齢になり、1年ほど前に地元に戻ってきました」。厨房(ちゅうぼう)を一人で切り盛りするのは妻の奈津子さん。パンやお菓子だけでなく、フレンチやイタリアン、日本料理など「何でも作れる引き出しの多さ、自由な想像力が彼女の魅力であり個性です」とご主人。


(手前から右へ順番に)全粒粉あんぱん160円。平塚産イチジクのデニッシュ200円。プルーン酵母のカンパーニュ250円。くるみ入りライ麦30%のパン600円。ゆでずに焼いたベーグル、ビアリー190円。中に山形産のリンゴが入っている。中央は栗粉をブレンドし焼き栗も入った秋の新作、栗のパン220円
(手前から右へ順番に)全粒粉あんぱん160円。平塚産イチジクのデニッシュ200円。プルーン酵母のカンパーニュ250円。くるみ入りライ麦30%のパン600円。ゆでずに焼いたベーグル、ビアリー190円。中に山形産のリンゴが入っている。中央は栗粉をブレンドし焼き栗も入った秋の新作、栗のパン220円

 「料理人としての経歴が長いので、パン作りも食材ありきでその都度、粉の種類や配合を考えます。こだわりがないのがこだわり、かな。季節感も大切に、きょう手に入った食材を生かすためにどんなパンを作ろうかと日々ワクワクしながら厨房に立っています」と楽しそうに話す奈津子さん。粉は北海道や岩手など国産からカナダ、ドイツのスペルト小麦など10種以上を常備。酵母は、リンゴやプルーンからおこしたものなどを季節や食材に応じて使い分けている。

 果肉もペーストにして生地に混ぜ込むプルーン酵母のカンパーニュは、トースターで温めてからナイフを入れると、ふわっと甘い香り。食べても舌になじむ優しい甘みが印象的。こういった全粒粉ブレンドのハード系は、皮はしっかり焼き込まれザクザクとしたワイルドな食感。でも、中はもっちり、ほんわかとした女性的な味わい。奈津子さんの個性が存分に表現されているのが楽しい。


キッシュとスープとサラダのプレート750円※ランチタイム(12:00~14:00)のメニュー
キッシュとスープとサラダのプレート750円
※ランチタイム(12:00~14:00)のメニュー

 食材は、地元平塚や大磯のものだけではなく、山形の知人が所有する果樹園から届くフルーツも季節の彩りに。また、岩手では兄が自然農法で田畑を開拓中で、いろいろな作物を送ってくれる。中でも小豆は今までに味わったことのない豊かな風味に驚く。甘さ控えめに炊いてあんぱんに仕立て、看板商品に(現在は底をついてしまったため新豆が届く12月ごろまでは似た風味の無農薬大納言を使用)。カフェメニューにもあるキッシュは、ベースはパイ生地ではなく全粒粉を使ってしっかりと焼き込んでいるので脂っこくない。野菜の煮込みなど具の水分を吸ってもサックリとした食感を保っているのもいい。

 毎月第3日曜に開催されている人気の「大磯市」にも10月から出店するそうだ(当日は店は休み)。

=藤田実子(ふじた・みこ)、フードジャーナリスト
掲載=2016年9月18日、神奈川新聞


ラコルタ カフェ プラス ベーカリー
ラコルタ カフェ プラス ベーカリー

Raccolta Cafe+Bakery
大磯町高麗1-15-6
電話0463(74)4552
営10:30~18:00/月曜・火曜休み
JR大磯駅北口から神奈中バス平塚行き「花水」下車徒歩5分。スーパーたまや大磯店近く。駐車場1台。ホームページ、フェイスブックあり。

 
 

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