横須賀で長年、社会福祉活動に取り組んできた横須賀基督教社会館会長の阿部志郎さん(93)が、「第28回石井十次(じゅうじ)賞」に選ばれた。
日本の社会福祉の先駆者で多くの孤児を養育し、「児童福祉の父」と呼ばれる石井十次(1865~1914)にちなみ、石井十次顕彰会が主催する。阿部さんは「名誉ある賞。妻の祖父が、石井十次のもとで奉仕活動をしていた縁もあり、うれしいです」と話している。
阿部さんは同館(横須賀市田浦町)の2代目館長として、肢体不自由児や乳児、学童などの保育事業の重要性を訴え、自ら実践してきたことが評価された。その足跡は昨年の本紙連載「わが人生」で紹介された。
受賞決定の知らせに「もっと若い人にあげた方がいい」と照れながら、「石井十次は『寄り添う』と『客観視する』が同時にできた人。東北の大凶作で孤児数百人を引き取ったとき、鉄道会社と交渉して子ども運賃を無償にするなど、合理的計画的に動いた。ソーシャルワーカーにとって理想像」と語った。
同賞は、全国から推薦を募り年に1個人(または団体)に贈呈。贈呈式は、石井の出身地である宮崎県高鍋町で4月10日に行われる。