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郷土芸能育てて40年 葉山御前太鼓 昭和天皇にも披露

話題 | 神奈川新聞 | 2019年4月1日(月) 19:20

町役場駐車場に設けられたステージで、和太鼓を披露するメンバー=2月17日、葉山町堀内

 葉山町に郷土芸能を-と、約40年にわたって活動を続ける和太鼓保存会がある。バチすら持ったことがない消防団員らが一念発起して立ち上げ、仕事の合間を縫っては練習に励んできた。御用邸で静養中だった昭和天皇らにオリジナル曲を披露したことも。時を重ね、顔ぶれは変わったが、世代や国籍を超え、息の合った演奏を披露し続けている。保存会は「これからも太鼓の音色を途絶えさせず、多くの人を元気づけたい」と意気込んでいる。 「ブォー…」

 2月17日朝。町役場駐車場(同町堀内)に、「葉山御前太鼓保存会」の野田六雄会長(76)の吹くほら貝の音がこだました。

 「ドドドドン、ドドドドン」

 それを合図に、紺色のはんてんをまとったメンバー8人が和太鼓をたたき始めた。30分ほどで4曲を披露。威勢のよい掛け声と腹の底に響く力強い音に、観客は圧倒された。

 保存会は1980年に発足した。当時の町長から郷土芸能をつくりたいと相談された消防団員たちが前身の「葉山太鼓保存会」として立ち上げた。

 建築業や電気工などが本業の当時のメンバーに、経験者はいなかった。古タイヤをたたいてリズムを覚えるなど和太鼓を独学。仕事の合間に練習を重ねるうち、面白さに目覚めてのめり込んでいった。


発足から約40年にわたり、保存会を支える野田会長=葉山町堀内
発足から約40年にわたり、保存会を支える野田会長=葉山町堀内

 ほら貝や、たたくと高音が出る竹も加え、オリジナル曲も制作。野田会長は「働き盛りの男たちが、夢中で曲のイメージを出し合ってさ。まとまらなくて、1曲作るのに1年は掛かったよ」と笑いながら振り返る。

 そのうちの1曲「海」は漁師の船出や大漁の喜び、地元の豊かな自然を表現。82年5月に葉山御用邸に招かれ、昭和天皇皇后両陛下の前で演奏した。「無我夢中で太鼓をたたいた」と野田会長は振り返る。愛子さま生誕を祝った曲も制作した。

 保存会には今、40~70代の16人が名を連ね、週1、2回の練習に汗を流している。うち女性は10人と半数を超える。10年ほど前に加わった舟田里奈さん(43)は「演奏をやり切った時が1番楽しい」とその魅力を語る。帰郷のために2月が最後の演奏になった米国出身のデビッド・ギャフニーさん(60)は「みんなのおかげでユニークな経験ができた」と感謝した。

 メンバーから「お父さん」と呼ばれている野田さんは「みんなで一緒に熱を持ってたたき、見る人に喜んでもらえることが1番うれしい。体の続く限り、続けたい」とほほ笑んだ。

 保存会はメンバーを募集している。詳細はホームページで。


 
 

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