アルコールや薬物などの依存症患者の支援団体が、川崎市高津区で依存症についての理解を深める「心のパワーアップセミナー」を始めて10年が過ぎた。当事者や家族が気づきにくいとされる精神疾患の依存症。これまで延べ約1500人が参加し、専門家の相談を受け、予防や回復への道筋を考えた。「気づいてよかった」と題する11回目のセミナーが15日、高津市民館(同区溝口)で開かれる。
市精神保健福祉センターによると、過度の飲酒や薬物乱用などで依存症の診断を受けて治療中の人は、患者の中の一握りで、総数は正確には把握されていない。「気づかないでいると体や暮らしを壊してしまう。治療すれば回復できる。まず相談を」と呼び掛ける。
セミナーは2007年から毎年開かれている。今回は同センター、川崎ダルク支援会、アルコールケアセンターたんぽぽ、川崎断酒新生会、パトリス(アルコール依存症家族の会)など8団体が実行委員会をつくった。
薬物やアルコールの依存症に悩む人々の相談、通所や入所による回復プログラムを実践する川崎ダルク支援会。「患者を孤立させず社会全体で支え、治療を受ければまた働ける。自分が依存症だと気づいたときから変わっていく」と指摘する。
最近は、定年を迎えた高齢者や女性の依存症も課題になっているという。川崎ダルク支援会は、回復プログラムと居場所を提供する、女性のための通所施設を運営している。
セミナーでは、ギャンブル、買い物、インターネット、スマホなど「やめられなくて困っている」こと全般を考える。薬物依存症から入所治療で回復した男性が体験談を語り、精神科医で成増厚生病院診療部長の後藤恵さんが依存症の正しい理解、やめるための動機付けについて説明する。
セミナーは午後1時半~4時15分。午後0時半から1時半に専門家の相談コーナーが設けられる。相談、セミナーとも無料。問い合わせは、高津区社会福祉協議会内の実行委事務局電話044(812)5500。