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「性別よりも個性生かす働き方を」 女性消防士誕生50年

話題 | 神奈川新聞 | 2019年3月7日(木) 12:14

川崎市消防局で女性初の管理職を務めた古尾谷さん
川崎市消防局で女性初の管理職を務めた古尾谷さん

 女性消防士の誕生から今年で50年。今でこそ最前線で活躍するが、全国の先陣を切って採用に踏み切ったのは川崎市だった。12人いた1期生の一人古尾谷敏江さん(68)は唯一、定年まで勤め上げ2011年に退官。男社会で苦労し、道を切り開いてきた先駆者は問い掛ける。「性別も個性の一つ。その人の個性を生かした働き方が大切なのでは」

 川崎市が女性消防士を採用したのは1969年2月。全国初の出来事で、同年4月には横浜市なども後に続いた。

 それから50年、節目を祝う式典が16日に川崎市消防局で開かれた。周囲から親しみと敬意を込めて「レジェンド」と呼ばれる古尾谷さんも登壇。入庁当時の立場やこれまでの仕事を振り返りながら、消防士であり続けた理由をこう語った。「私が辞めたら、後が続かないと思った」

 当初割り当てられた仕事は、市民に防火を呼び掛ける予防広報だった。珍しさもあってマスコミに連日のように取り上げられたという。マスコットのような扱いに反発も抱いたが、「制服を着ている限り、広報の一環として割り切っていました」と語る。

 23歳で夫友一さんと職場結婚し、1男2女に恵まれた。当時は消防でなくとも寿退社が当たり前の時代。育児休暇制度も不十分で、産後8週間で職場に復帰した。「何で母ちゃんを働かせているんだ」との同僚の声も夫妻の耳に聞こえてきたが、「男性から『だから女は使えない』と言われるのはしゃくに障った」と意地を通した。


全国初の女性の消防士として採用された12人。左から6番目が古尾谷さん
全国初の女性の消防士として採用された12人。左から6番目が古尾谷さん

 仕事にはやりがいがあった。防火にまつわる自作の紙芝居を持って幼稚園や保育園を訪問し、高齢者住宅にも向かった。子どもたちの笑顔を見ることで充実感を得られたし、訪問先の高齢者との会話を通じ、男性とは違ったアプローチでPRできる利点があると確信もできた。

 人事課では女性の職域拡大を検討し、若手女性の相談にも乗った。2009年には初の女性管理職となる消防司令長にも昇進し、川崎消防署の予防課長に就任。全国の女性消防署員で組織する会の設立にも尽力した。

 9代目消防局長の石馬武さん(83)は採用当時を懐かしそうに振り返る。「トイレも男性と一緒の時代で、大変だったと思う。女性採用に反対だった? そんなことはない。『女性にみっともない姿は見せられない』と、男性の消防士もきりっとしたもんだった」と笑った。

 消防局によると、2月1日現在の消防士は1428人で、うち女性は61人。登用率は4・3%に過ぎず、26年度までに6%に引き上げる目標を掲げる。一方で、全国の政令市初となる女性の特別救助(レスキュー)隊員が誕生するなど、活躍の場は緩やかに拡大している。

 古尾谷さんは現状を好意的に受け止めつつ、諭すようにメッセージを発した。「今後ますます男女一緒になって働く環境になる。だけど、力仕事で背伸びをし過ぎても男性にはかなわない。大事なのは男性とか女性とかじゃなく、その人の個性や適性は何かという視点じゃないかしら」

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