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鉄道コラム 前照灯(293)
冬の紀伊半島をくるり 紀勢本線鈍行の旅

話題 | 神奈川新聞 | 2019年2月22日(金) 03:00

新宮の海岸「王子ケ浜」の朝焼け。釣り人がひとりいた
新宮の海岸「王子ケ浜」の朝焼け。釣り人がひとりいた

 紀伊半島を半周する紀勢本線。もう何年も乗っていない。それも昔、3段式寝台に寝て夜中に通過しただけの記憶である。あらためて全線を鈍行(もはや死語かも)で踏破したくなった。雪の予報も出た冬の週末である。


名古屋発の鳥羽行き快速「みえ」キハ75(JR東海)。多気で乗り換える
名古屋発の鳥羽行き快速「みえ」キハ75(JR東海)。多気で乗り換える

 名古屋から下る。ローカル色が増すのは多気からだ。宮川に導かれて紀伊山地に分け入るが、荷坂峠の長いトンネルを抜けると、一気に熊野灘に駆け下りる。入り江の集落が次々過ぎていく。圧巻は尾鷲~熊野市の間、車窓に見え隠れするリアス式海岸の青い俯瞰であろう。

 途中、紀伊勝浦行き「ワイドビュー南紀」に追い越される20分停車もある。どうぞ先に行くがいいが、つくづく残念なのはこちらの普通列車はロングシートなので用意したカップ酒の出番がないことだ。特急の方も客の姿はまばらで、この幹線の行く末が心配になる。


多気発の新宮行き普通列車キハ25(JR東海)
多気発の新宮行き普通列車キハ25(JR東海)

 新宮で宿をとる。紹介された居酒屋は階上にざわつきがあったが、階下はカウンターだけで、ほかに客もない。気づまりだったが、カツオ刺し身やサンマ丸焼きがうまく、地酒が思いのほか進んだ。土地柄かクジラの品書きが目立ったが、店主は寡黙だった。

 翌日は6時56分発の紀伊田辺行き普通列車に乗る。まだ暗い新宮駅で始発の京都行き特急「くろしお」が先に出て行った。間に合わなかった老人が「白浜まで行けば特急がある」と駅員に教えられて同じ鈍行の客となった。このあと御坊行き、和歌山行き、和歌山市行きと乗り継ぐうち小雪が舞ってきた。(F)


新宮発の紀伊田辺行き普通電車105系(JR西日本)
新宮発の紀伊田辺行き普通電車105系(JR西日本)

紀伊田辺発の御坊行き普通電車113系(JR西日本)
紀伊田辺発の御坊行き普通電車113系(JR西日本)

御坊発の和歌山行き普通電車225系(JR西日本)
御坊発の和歌山行き普通電車225系(JR西日本)

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