アスベスト特有の疾患・中皮腫で17年にわたり闘病している男性患者の講演会が27日、横浜市神奈川区で行われ、20人ほどが耳を傾けた。中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会神奈川支部の主催。
千葉県に住む栗田英司さん(50)は、1999年に健康診断で腹部の異常を指摘された。精密検査と手術の結果、腹膜中皮腫と診断され、これまで計4回の開腹手術と、抗がん剤治療を経験してきた。中皮腫は治療が難しく、17年という長期間闘病を続けるケースは珍しいという。
栗田さんは自らの病気を「絶望、受容、戦い」の3段階で受け止めたと説明。最初の手術時に余命1年と宣告されたが、「その1年後にも何も起こらなかった。そのときに『中皮腫では死なない』と、闘うことを決めた」と話し、仕事や趣味を続けながらの闘病生活について説明した。
昨年には、主治医からあらためて抗がん剤治療を勧められたという。だが、不調の自覚がないことや治療の大変さを考え、現在は治療を中断している。栗田さんは、長く闘病できた理由として「早期発見、最初の手術でのいい対応、戦う心を絶えず持っていること」の三つを挙げ、「自分の話から何らかのヒントを得て、助けにしてもらえれば」と話した。