伝統工芸品の魅力を若い世代に伝えようと、専修大学生田校舎(川崎市多摩区)の女子学生3人が東京都内の老舗工芸会社と連携し、籐(とう)製のピアスをデザインした。都内で開催中の伝統工芸品展で販売中で、外国人観光客らも興味津々。3人は「和装に似合うアクセサリーで、おしゃれでインスタ映えもする」とPRしている。
手掛けたのは、同大商学部の神原理教授のゼミナールの3年、中石千夏さん(21)、井関麻祐さん(20)、木下澄香さん(21)。職人の高齢化や後継者難などが課題の伝統工芸品を若者に知ってもらい、日本のものづくりの素晴らしさを再認識してもらいたいと企画した。
着目したのは、日本では籐と呼ばれ、東南アジアなど熱帯雨林のジャングルに自生するヤシ科のツル性植物ラタン。90年の歴史を持つ木内籐材工業(東京都文京区)の3代目木内秀樹さん(44)と連携した。
中石さんらは「ネット販売などでハンドメードがはやっている」ことに注目。さらに「成人式の際、振り袖に似合うピアスがあまり販売されていない」と常々考えており、「籐は軽いので大ぶりなデザインでも耳への負担が少ない」ことからピアスに決定した。
3人は、華やかで伝統的な飾りの水引の形状と色合いを生かした15点のデザインを考案。花をイメージした結びのカラフルな「お花」をはじめ、水引の結び方の「えび巻き」「淡路(あわじ)」「玉結び」の4点の採用が決まった。
普段は家具などを製造している木内さんは「こういう小さなものは初めて。籐に色を付けると色落ちするので、ピンクや青の水引のひもを組み込んで編み込んだ」と説明。井関さんらの提案で、洋装にも合うように真珠を取り付ける工夫も施した。
3人は「外国人も浴衣姿や着物姿でインスタグラムなど積極的に投稿している。籐ピアスも一緒に会員制交流サイト(SNS)で拡散してもらえれば、魅力が世界に広がる」と期待を膨らませている。