相模原市立博物館(同市中央区高根)ボランティアの市民学芸員メンバーが、市内の名所・旧跡などを盛り込んだ「相模原ふるさといろはかるた」を手作りした。7年がかりで取り組んだかるた作りは昨年、念願の1セットが完成。今回は貸し出し用の10セットを追加で作り上げた。博物館を通じて学校や子ども会などに貸し出す。また博物館で開催中の資料展では、かるたと原画を展示している。
かるたは、市内47カ所の名所・旧跡などを紹介。例えば、子どもが矢を放って豊凶を占う田名八幡宮(同区水郷田名)の神事「的祭(まとまち)」は「的祭の豊作占う田名八幡宮」、明治時代の地図作りの第一歩となった相模野基線の測量は「北端点地図の始まり麻溝台」と読む。
絵札、読み札のほか、日本語と英語の解説文、紹介地のマップをつける工夫も凝らした。博物館は「旧津久井4町と、合併後の全市内の名所・旧跡を読んだかるたの制作は、初めてだろう」と話す。
市民学芸員のメンバーがかるた作りを考えたのは7年も前。中心になって進めた木村文夫さん(69)=同市南区上鶴間=は「名所・旧跡を洗い出すやり方ではなく、いろは順に『五・七・五』調の句を、多いときで35人ほどのメンバーが集まって作っていった。句から考える方がやりやすかった」と振り返る。
「みんなで考えた句は数百あった」という木村さん。人気行事でも採用できないものが出るなど、絞り込みに苦労しながら完成にこぎ着けたという。
絵札の原画は女性メンバーの夫に依頼。会員が原画をパソコンに取り込み、カラープリンターで印刷したものを厚紙に貼り付けるなど、全てが会員の手作業。印刷用の紙やインクなどは博物館に提供してもらった。
完成したかるたと原画は、博物館で来年2月24日まで開催している「まなべる くらべる学習資料展」で展示中。見学した人から「すばらしい取り組み。市内の全学校に貸し出して、子どもたちに郷土の魅力を知ってもらいたい」など応援メッセージも寄せられている。
会員らは「さらに10セットほど作り、市内の図書館などに貸し出し用に置いてもらいたい。全小学校にも届けたいが、72校もあるので大変だ」と、ため息交じりに笑顔を見せていた。かるたの貸し出しは博物館電話042(750)8030。