
クリスマスイブの24日夜、路上生活を余儀なくされている人たちに靴下を贈る活動が横浜市中区の寿地区を拠点に行われた。貧困からホームレス状態に陥り、寒さや飢えなどから亡くなる人も毎年相次ぐ。繁華街が最も輝き彩られる聖夜、野宿者を取り巻く現実を知り社会が抱える問題に向き合おうと、女性美術家が立ち上がった。
「くつしたプレゼントの会」を企画したのは、横浜でアート活動を続ける竹本真紀さん(42)。寿地区での支援活動に長年参加しており、凍(い)てつく路上で野宿している人から「厚手の靴下が欲しい」との声を受け、2015年にプロジェクトをスタートさせた。
「支援という形ではなく、親しい友人に贈るようにプレゼントしよう」。会員制交流サイト(SNS)でそう告知したところ、3回目となった今年は30人余りから真っさらの靴下約80足やお菓子、カイロなどが寄せられた。
竹本さんの呼び掛けで集まった市民ら約10人は24日午後8時20分ごろ、大きな袋を抱えて寿地区を出発。関内駅や横浜スタジアムの周辺、みなとみらい(MM)線馬車道駅のコンコースなどを巡った。

参加した女性の一人は、クリスマスケーキやフライドチキンを求めるカップルたちが列を成すイセザキ・モール近くの地下通路に、段ボールの「家」がずらっと並ぶ光景に息をのんだ。
男女30人ほどが暮らしていた。路上生活者は寒さだけでなく、華やかな街の雑踏や人々からの好奇の視線からも逃れようとしている現実を知った。
プレゼントには竹本さんが制作した赤ずきん姿のキャラクター「コトブキンちゃん」が登場する漫画や、寿地区で年末年始に行われる炊き出しなどの支援活動「寿越冬闘争」を紹介するチラシも入れた。70人ほどに配り、寝ている人には枕元にそっと置いた。
横浜スタジアムは、2020年の東京五輪で野球・ソフトボールの競技会場となる。観客席の増設工事が続いており「いつ強制排除されるのか不安」との声も上がっているという。
竹本さんは「ホームレスの人たちは行き場がなく、年々高齢化が進んでいるのが実情。このプロジェクトを通して身近な路上で暮らす人たちに思いを寄せる人たちが大勢いることが伝わってほしい」と訴えている。