消費期限が迫っているなどの理由で市場に流通できない食品を企業から譲り受け、経済的に困っている人たちに無償で提供する「フードバンク」の取り組みが、横須賀市内で試験的に始まった。主催する市民グループ「神奈川フードバンク・プラス」は「外からは見えにくい貧困層に援助の手を差し伸べていきたい」と話している。
同グループは4月に発足。フードバンクを手掛けるNPO法人「セカンドハーベスト名古屋」で理事長を務めていたメンバー(70)や地域住民らが集まり、横浜市と横須賀市を中心に活動を始めた。
13日には横須賀市内でのニーズを探るため、公営団地で食品の配布を初めて実施。生活に困窮している高齢者を想定して、15日の年金支給日前を選んだ。
事前にチラシをほぼ全戸に配布し、アルファ米、フルーツの缶詰、インスタントのみそ汁など約10種類を用意。配布時間の30分ほど前から行列ができ、約160人が食品を受け取った。つえをついた高齢者の姿も目立った。
同グループは「本当に必要な人が誰かは見た目ではわからない。まずはみんなに届けることが大切」と強調。チラシを見た高齢者から「足が悪くて取りに行けないが、どうすればいいか」との問い合わせもあったといい、「反響は予想以上」と評価する。
今後、NPO法人化を予定しており、市と連携するなど本格的な活動の開始を目指している。