ひとり親の男性“シングルファーザー”をサポートする冊子「みんなどうしてる?」が完成した。子どもと過ごす時間を確保するため仕事を変えて収入を減らしたり、悩みを相談せずに孤立したりといった実情に、川崎市男女共同参画センター(すくらむ21、同市高津区溝口)が、「暮らしや子育ての参考にしてほしい」と作成した。
同センターによると、市内で父子のみの世帯は約700世帯で、このうち20~60代の父親30人に2015年、調査員が1人約1時間の聞き取り調査を行った。
それによると、「平均年収はシングルマザーより高いが長時間労働の仕事と子育ての両立が難しい」「役職や正社員の立場を捨てて融通が利くパートタイムの仕事に変えたため年収を大きく減らした」などの実情が分かった。
悩み事について誰にも相談していない割合が高いのも特徴で孤立しがち。一方で、地域と交流する時間を確保するため契約社員となり収入が激減したものの、保育園の保護者会で「ママ友」と悩みを交換しているという男性もいた。
同センターは「父親の努力と親族の援助でかろうじて暮らしが成り立っている。同じ事情の人たちのネットワークがなく、先輩の知恵を役立ててほしいと作成した。周囲に状況を知ってもらい、子どもを含めて支援を得られるようになってくれれば」と話す。
冊子は、15年に聞き取りをした30人のうち7人に協力を求め、16年秋から年末まで、面談方式であらためて意見を聞き、当事者の視点を反映させた。
内容は、仕事がある日の平均的な一日、炊事での栄養バランス、洗濯や掃除、育児、娘の思春期への対応、生別した元妻との関係、再婚の課題などを取り上げた。離婚や死別で、シングルファーザーになったときに仕事と暮らしのバランスをどう取るかについても実践的にアドバイスしている。
冊子はA4判20ページ。2千部を無料配布。問い合わせは、同センター電話044(813)0808。