
川崎市高津区の中小製造業などで組織する川崎北工業会は3日、町工場への理解を深めてもらうイベント「オープンファクトリー」を久地・宇奈根地域で開催した。金属加工や部品製造、自動車整備など19社が工場を開放し、地域の親子らにものづくりの現場を紹介した。
同区には古くから川崎の産業発展を支えてきた企業が集積しているが、宅地化が進んだことで騒音などの苦情も増えたという。優れた技術を持つ工場が地域にあることを知ってもらい、住民らと顔の見える関係をつくることで“共存”していこうと、イベントが企画された。今年で4回目。
ネジの緩みを防ぐ「スプリングワッシャー」のメーカー「東京メタル」の工場では、ワイヤを変形させ、らせん状に巻いて切断するといった製造工程を、実物を用いながら解説した。計測器の開発・製造を手掛ける「和興計測」では、さまざまなスイッチをずらりと並べて紹介。ガソリンスタンドなどで油が流出するのを防ぐため、電気の流れやすさで水と油を判別するスイッチの仕組みなどを説明した。
近くに住む会社員の男性(40)は「地元にどんな企業があるかを知りたかった。日本経済を支える素晴らしい技術を持っていることが分かってうれしい」と目を輝かせ、熱心に質問していた。和興計測の五十嵐崇社長は「『将来はものづくりに携わりたい』と言ってくれる子どももいて、イベントのやりがいを感じる」と話していた。