
江戸時代末期の農村歌舞伎舞台で、国の重要有形民俗文化財の「旧船越の舞台」が21日、川崎市立日本民家園(同市多摩区枡形)で特別公開された。園で活動するボランティア「炉端の会」のメンバーが、普段は公開されていない約160年前の舞台の内部を来園者に解説した。
舞台は、三重県志摩半島の漁村の神社境内で歌舞伎の上演に使われ、1972年に園に移築された。約180平方メートルの総ヒノキ張りの床に、芝居の場面転換に使う回り舞台などが備わっており、毎年11月に農村歌舞伎が上演されている。
同会の加藤京子さんは、舞台下の8人が人力で舞台を回し、舞台脇のブース「出語り」では語りや三味線演奏が行われた様子を解説。「現代の舞台にある装置がほぼそろっている。大阪から招いた役者らが出演した舞台で、いまでも現役で使われているのは全国でも珍しい」と説明した。
同市中原区から長女と2人で訪れた60代の女性は「昔ながらの味わいがいい。今度は実際の舞台をぜひ見たい」と話していた。
特別公開は毎年春と秋に行われ、今春は27、28の両日も実施。問い合わせは、民家園電話044(922)2181。