ことし生誕150年を迎えた夏目漱石の生涯をたどる特別展「漱石からの手紙 漱石への手紙」が鎌倉文学館(鎌倉市長谷)で開かれている。直筆の手紙など約80点を通じて、漱石と家族のふれあいや文学への情熱を伝える。7月9日まで。
展示は年代順に並び、現存する漱石の手紙で最も古い友人宛ての英文の下書きと思われるものから始まる。留学先のロンドンから妻鏡子へ「おれの様(よう)な不人情なものでもしきりに御前が恋しい」とつづると、鏡子も「あなたの事を恋しいと思ひつつけている事はまけないつもり」と返した。避暑のため鎌倉に滞在していた娘たちには、かわいらしい絵はがきを何通も送った。
門下生の鈴木三重吉には「死ぬか生きるか、命のやりとりをする様な(中略)烈(はげ)しい精神で文学をやって見たい」と熱い胸の内を書いている。同館は「いまも心に響く手紙ばかりで、一つの作品とも言える。じっくり読んでほしい」と来場を呼び掛ける。
午前9時~午後5時。休館は6月19日と7月3日。問い合わせは、同館電話0467(23)3911。