横浜産の津久井在来大豆で作った納豆が発売された。その名も「ハマッ子納豆」。昔ながらの経木(きょうぎ)で三角形に包装されている。手掛ける老舗納豆屋3代目の中村弘さん(49)=横浜市神奈川区=は「新商品で、新たな道を切り開きたい」と意気込む。
JA横浜の依頼を受け、新商品の開発を始めたのは昨年末。2週間ほどで120個の試作品を作ったが、「糸引きが悪く、豆も硬かった」と、壁にぶつかった。包装の密閉度や大豆の蒸し加減を変えながら試行錯誤。2月中旬に完成品にこぎ着けた。中村さんは「津久井在来大豆の甘みが残り、しっかりした歯応えもある。昔ながらの包装がいい香りを引き出している」とアピールする。
経木と伝統のろう紙による三角形の包みには、こだわりがある。「三角で勝負できなければ店をやめなさい」。今年夏に13回忌を迎える父貞夫さんから店を引き継いだ時に掛けられた言葉だ。
1950年開業。後継者不足や大手メーカーに押され、次々に同業が店を畳む中、飲食店やパン屋との連携や販路開拓で、母親と二人三脚でのれんを守る。その中で訪れた今回のチャンス。「横浜産の大豆で作った横浜ならではの納豆。納豆好きが増えるような商品に育て上げたい」と意欲を燃やす。
4月から毎週木曜、JA横浜の都筑、神奈川区内の直売所計3店舗で各30個を販売している。毎回完売と好評だが、中村さんは「リピーターがつくまで油断できない」と試験販売の5月末まで推移を見守る。
1個216円(中粒)。JA横浜の直売店メルカートかながわ店(神奈川区)などで扱っている。問い合わせは、同店電話045(481)3913。