黒岩祐治知事は6日、障害者雇用に先駆的に取り組むチョークメーカー「日本理化学工業」(川崎市高津区)を訪問した。「工程に人を合わせるのではなく、人に工程を合わせる」(大山隆久社長)として個々の力を生かすための工夫の数々を見学。知事は「一生懸命仕事をする姿を見て感動した。モデルとして頑張ってほしい」と激励した。
同社は1960年から障害者の雇用を開始。現在は全社員84人の75%に当たる63人が知的障害者で、その4割は重度障害があるという。県によると、県内民間企業の障害者雇用率は昨年6月現在1・87%で、全国平均の1・92%を下回る。障害者雇用は県が目指す共生社会実現の重要な要素のため、今回、先駆企業の現場を訪問した。
知事は会社概要の説明を受けた後、工場を見学。社員らがチョークの切断や梱包(こんぽう)といった担当ごとに分かれ、集中して手を動かす姿に「この中に重度障害の人がいるとは分からないですね」と驚きの声を上げた。
大山社長は「普通はマニュアルを使って仕事を教えるのでしょうが、一人一人の理解力に合わせて工夫しています」と説明。文字や数字が苦手な人もいるため、赤や青といった色別の道具管理や、砂時計を使うなどの取り組みを紹介した。