
監視カメラで撮影した人物の精神状態を解析して「可視化」し、テロリストなど不審者を事前に検知するセキュリティーシステムが4月から、横浜市中区の横浜港大さん橋国際客船ターミナルで稼働する。国内の公共施設で本格導入されるのは初めて。
「DEFENDER-X」(ディフェンダーX)は無意識に生じる頭や体などの微振動に着目し、攻撃性や緊張、ストレスなど50パターンの感情を独自のソフトウエアで解析する。
ある人物を不審者と検知した場合、警備室のモニターに赤色の枠で示すとともに、アラーム音を鳴らして警備員に注意を呼び掛ける。映像は録画され、捜査機関が活用できる。システムはインターネットに接続しておらず、情報漏えいの心配はないという。
ロシア政府の研究機関を母体とするエルシス社が10万人以上の実験データを基に開発した。日本総販売元のエルシス・ジャパン(東京都品川区)によると、ロシア国内の空港をはじめ、欧州やアジアなど約20カ国で稼働し、日本でも2016年の伊勢志摩サミットで導入実績があるという。
国内最大級の客船ターミナルである大さん橋側は「導入は犯罪の抑止につながる。横浜港からテロリストを入国させない」。エルシス・ジャパンの四方堂(しほうどう)亘(わたる)さんは「20年の東京五輪を控え、全国の空港や新幹線などの駅で活用してほしい」と話した。