横浜市今宿地域ケアプラザ(同市旭区)で、毎月第2水曜日に開く「くつろぎカフェ・音楽喫茶」が、4月で5周年を迎える。地域交流に足が向かない男性の利用者を増やそうと、2012年にスタート。本格コーヒーと地域住民から寄付された千枚のLPレコードを楽しむ場には、常連客はもちろん、もてなす側にも男性が顔を並べる。
午後1時、開店。利用者が次々に入ってきた。
コーヒーはドリップ(200円)と、自分で豆をひくサイホン(250円、午後3時まで)の2種類。飲みながら本を読んだり、仲間とおしゃべりしたり、楽しみ方はそれぞれだ。レコード持参で訪れた田部井昭夫さん(80)は、「知人に誘われ、4年ほど前から来るようになった。自然な雰囲気で1人でも来やすい。全く知らない人と世間話をするのも勉強になる」と笑顔で豆をひいていた。
同ケアプラザ所長代理で、地域交流コーディネーターの真鍋敦さん(54)が「家にこもりがちな男性を外に出すには、どうすればいいか」を考えたことがきっかけだった。区の調査などから、現役時代は都内へ仕事に通い、定年後は地域との関係が薄い男性が多いこと、喫茶店のニーズが高いことが判明。それを踏まえ、コーヒーと心地よい音楽でくつろげる空間をつくることになった。
この世代のこだわりにも目を向けた。
コーヒーは、区内で喫茶店を開く新家道敏さん(77)の協力で、本格的なものを提供。「現役時代の流行を取り入れよう」と、地域住民からLPレコードとステレオの寄付を募り、リクエストで好きな曲を楽しめるようにした。
男性の活躍は、“おもてなし”にも広がる。
カフェで働くのは、ボランティア「ペリゴール」のメンバーだ。同ケアプラザで新家さんが開いた講座の受講生が集まった。現在は男女24人が参加し、区内の自治会館などでも活動している。代表の菅野弘道さん(75)は「以前は地域での活動は全くしていなかったが、仲間や活動の輪が広がった。飲んだ人においしかったと言われることもうれしい」と話す。
カフェへの来店を機に、ケアプラザの事業に関心を示す男性が増えた。真鍋さんは「ここで仲間をつくり、さらに健康寿命を延ばしてほしい。ボランティアし合うなど、その先の活動にもつながれば」と期待する。
4月12日午後1~5時には、5周年の特別企画を行う。問い合わせは、同ケアプラザ電話045(392)0309。