横浜市の観光バス事業再編に伴い、定期観光バス「横濱ベイサイドライン」が9月末で運行を終える。横浜最古の観光バスで、昭和初期からハマの名所を巡ってきた。だが、近年は途中で乗り降りできる自由散策型バス「あかいくつ」の人気に押され、利用客が低迷。採算が取れなくなったため、約80年の歴史に幕を閉じる。
ベイサイドラインは横浜駅東口発で、午前、午後、夜景の3コース。ガイド付きで、ランドマークタワーの展望フロア入場券や三渓園の入園券なども料金に含まれる。
運行開始は山下公園で横浜大博覧会が開かれた1935年にさかのぼる。「横浜市内遊覧バス」と銘打ち、ガイドとともに横浜、桜木町駅から伊勢山皇大神宮、野毛山公園、横浜競馬場、杉田梅林など15カ所を巡回。料金は1円50銭だったという。日中戦争の拡大でガソリン節約のため37年に休止。53年に再開した。
96年には名称をベイサイドラインとし、2008年から今の赤い車体が使われてきた。
14年度の利用客は1万3千人。10年前と比べると3割ほど落ち込んだ。コースの追加などさまざまな企画を打ち出したが、「日によっては客がゼロという便もある」(市交通局)という。
妻と初めて利用したという同市保土ケ谷区の公務員の男性(63)は、「最後だと知って乗った。ガイドを聞きながら、ゆったりと地元の名所を回れるのは良かったけどね」と残念そうに話した。
市は「さよならキャンペーン」と銘打ち、9月中の利用客には、昭和20年代当時の車体が描かれたパズル型記念乗車券を発行する。