犬や猫などペットを飼う家庭が増えている。「家族の一員」の病気は、飼い主にとって一大事だ。最新の研究を生かした治療を行っている麻布大学付属動物病院(相模原市中央区)の獣医師が、ペットの健康情報や産業動物の最新情報を紹介する。
豚は生まれた時は1・5キロ程度しかありませんが、半年で100キロ以上に成長し、「肉豚」として出荷されます。しかし、たった半年の間にも豚はいろいろな病気に狙われます。豚を病気から守り、安心で安全な豚肉生産を陰ながら支えているのが、数少ない豚専門の獣医師です。
2010年に宮崎県内で発生した家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」では29万頭の牛と豚が犠牲となりました。筆者は当時、現地で殺処分を担当しましたが、あっという間に広まる感染力の強さ、助けられなかった無力感や悔しさは今も鮮明に覚えています。口蹄疫は人にはうつらない伝染病とはいえ、現地では飲食店の入り口や空港に消毒マットが置かれるなど、一般の方も拡散させないよう協力してくれました。