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神大ロケット、さらなる高度へ 「夢を一緒に」資金募る

話題 | 神奈川新聞 | 2022年8月26日(金) 05:20

(左から)高野教授、飯田さん、高階さん、川口さん=横浜市神奈川区

 音速を超えて空を裂くロケット。エンジンの設計段階から神奈川大(横浜市神奈川区)の航空宇宙構造研究室と宇宙ロケット部の学生たちが手がけてきた。昨年に国内到達高度記録を更新し、今年はさらなる高度を目指すが、開発費は膨らみ、計画していた9月の打ち上げに向け資金が枯渇してしまった。現在はクラウドファンディング(CF)で資金を求め、打ち上げを目指している。同部の川口舞子さん(25)は、「宇宙開発に向けた大きな一歩。一緒に盛り上げてほしい」と協力を呼びかけている。

 大学内にある作業場で、ドリルで板に穴をうがつ音が響く。学生たちが造り上げているのは「ハイブリッド ロケット」というタイプの飛行体だ。プラスチック樹脂の固体燃料を液体の酸化剤で燃やすため、爆発の危険がなく有毒ガスも発生しない。火薬類の固定燃料ロケットより推進力は出にくいが、安全性、環境性能に優れ、管理コストを抑えられるのが特長という。

 同大工学部の高野敦教授(48)の指導の下、2014年から開発に着手した。16~18年は打ち上げに成功したが、19年はエンジンが破裂し、20年は新型コロナウイルス禍で打ち上げを断念した。

 「コロナ禍は大学に入ることすらできない時もあった」と川口さん。大学から送られた部品を自宅で作業した他、オンラインで話し合いを続けたいう。

大型化で開発費膨らみ

神大の学生が開発したハイブリッドロケット=昨年9月19日、秋田県能代市(同大宇宙ロケット部提供)

 苦しい時期を乗り越えて迎えた昨年9月、秋田県能代市の海岸で打ち上げたハイブリッドロケットは、国内記録8・3キロ(北海道大)を突破し、10・1キロに到達した。記録更新は、悲願だった。

 宇宙ロケット部部長の高階智和さん(20)は、「ここまでの高度に到達できる民間大学はない」と胸を張るが、夢はまだ道半ばという。

 昨年から3倍近い「高度30キロ」が、今年の目標となるためだ。ただ、到達させるためには、昨年の機体に比べ、エンジンの大きさと、燃料の重さを倍近くに増大させることが避けられない。これまでのノウハウが大型化した機体に通用するのか実験も欠かせない。

 開発費は膨らみ、打ち上げ会場への輸送費や、設営費も足りなくなっていった。そこで知恵を絞って出てきたのが、CFによる資金調達だった。

「学生の汗と涙が…」

 
 

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