人口減が進む神奈川県相模原市緑区青根で、麻布大の学生らでつくる市民団体「あざおね社中」が地域おこしに取り組んでいる。休耕田を復活させ、稲作をしながら生物多様性の調査などを行っている。麻布大生命・環境科学部准教授で、代表の村山史世さんは「人口減の時代でも、『よそ者』が関わることで地域振興ができるはずだ」と取り組みの狙いを説明している。
山梨との県境に位置する山間部の青根地区で5月28日、5アールほどの水田に、麻布大の学生らが素足で入り、3本ずつ苗を手で植えた。4年の鎌田翼さん(22)は「自然と触れ合えるのが楽しい」。田植えを見守っていた近くに住む天野暁子さん(79)は「周辺は休耕田や空き家ばっかり。若者が来るだけで気持ちが明るくなる」と目を細めた。
同地区はかつて、木炭などの林業や養蚕が盛んだったが、石炭・石油の普及で徐々に衰退した。平地が少ないため開発も難しく、人々は仕事を求めて都市部へ流出するようになった。
今では、地域に暮らす約500人のうち64・4%が65歳以上の高齢者(2022年1月時点)で、県内唯一の「準限界集落」とされている。