東京パラリンピックで日本勢が活躍したボッチャに多くの人に触れてもらおうと、特別支援学校の元校長が横浜で奔走している。
自国開催で高まった熱を逃すまいと、今秋にボッチャの普及を目指す一般社団法人を設立。年齢や障害の有無にかかわらず、共に楽しむ場面を増やすことで、分け隔て無い交流の輪を広げようとしている。
初対面でもすぐ参戦
「投げ方は自由。足で蹴るのもOK。ぜひ楽しい時間にしましょう」
昨年11月、横浜市南区のカフェで開いた「ヨコハマ・インクルボッチャ・ラボ」の設立イベント。公式ルールより小さい3畳ほどのコートを囲む参加者を前に、代表理事の佐塚丈彦さん(64)が呼び掛けた。
ボッチャは、脳性まひなど重い障害がある人のために考案されたスポーツ。白い目標球に赤と青のボールを投げ合い、白に近づけた方が勝ち。投げるのが難しい人は、すべり台のような勾配具で転がしてもいい。
シンプルだが「地上のカーリング」と言われるほど戦略性に富み、東京パラの緻密な戦いは記憶に新しい。
だが、ラボの活動は気楽さがモットーだ。イベントでは簡単なルール説明だけで、車いすの子どもやスーツ姿の来賓にも次々と参加を促していった。
初対面同士であっても、投げ合えばすぐに歓声が上がる。審判役を務めていた佐塚さんも、しばらくすると参加者に交代。「これが目指すムードなんです」と笑う。
「一緒に楽しめるなんて」
広がれ、ボッチャの輪 横浜の元支援学校校長、普及に奔走
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「ヨコハマ・インクルボッチャ・ラボ」の設立イベント=2021年11月、横浜市南区 [写真番号:952514]
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ボッチャ講師として忙しい日々を送る佐塚さん=2021年12月、横浜市泉区 [写真番号:952517]