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鉄道コラム 前照灯(301)
インド国鉄、カオスの旅 ムンバイ発長距離急行

話題 | 神奈川新聞 | 2019年10月3日(木) 00:00

ムンバイとチェンナイを27時間で結ぶ長距離列車「ムンバイCST・チェンナイ急行」=ダダー駅

 インドといえば、鉄道だ。あえて言い切ってしまう。日本が協力するデリー~ムンバイの新幹線計画が話題だが、在来線での長旅の魅力も捨てがたい。

 西部の商都ムンバイ中部にある乗換駅、ダダー駅のホームを歩いた。

 乗降客が行き交うホーム上で、シートを敷いた大家族が、おもむろに弁当を開いた(もちろんカレー)。食後はそのまま、ごろりと昼寝。その横を、どこからともなくやってきた野良犬が通り過ぎる。向かい側の線路を、開けたままのドアから乗客をはみ出させた近郊鉄道(ローカルトレイン)が出ていく。ホームで騒ぎだした小さな女の子が、サリー姿の母親にほおを引っぱたかれて、派手な泣き声を上げた。

開いたままのドアから乗客がはみ出す=ダダー駅

 ごたまぜ、としか表現しようのない雰囲気を、ホームの放送が切り開く。現地ではムンバイは「ムンバイー」と、語尾を伸ばすようだ。インド国鉄の長距離列車「ムンバイCST・チェンナイ急行」がホームに滑り込んできた。全走行距離は1200キロ。ムンバイと、ベンガル湾に面した南部の都市チェンナイを、27時間で結ぶ。

 インドの列車は車両編成が長い。この急行は18両をつなぐ。だが等級が異なる車両の間は、車内では行き来ができない。しかも停車時間は短めだ。乗り込むべき車両の止まる位置が離れていると、全力でホームを疾走することになる。

インドの長距離急行の客席。エアコン付きの2等級

 エアコン付きの2等級の客車の座席は寝台を兼ねる。窓側に上下2段の4人用寝台を兼ねたボックス席、通路側に上下2段の座席兼寝台だ。

 乗り合わせたビジネスマンの男性と、途中駅の文教都市プネまで4時間、車内販売のチャイ(紅茶)を手に、一期一会の交流が始まる。

 インドの旅を楽しむには、どうすれば?

「何を見物したいか、先に決めておくことだね。グルメとか、歴史的遺産とか、自然とか、発展する経済とか。インドは広いから、次に来るときは、1カ月は用意してきてね」

 カオスから踏み出し、カオスに帰っていく。この国の旅路に身をゆだねるなら、それぐらいの旅程は必要だろう。だからこそインドの旅は、鉄道なのだ。

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