生物学者の大久保奈弥さん(45)=藤沢市=が地域住民や専門家と協力し、相模湾沿岸の生物調査に取り組んでいる。逗子市小坪エリアで一時浮上した開発構想を機に「大切な生物のすみかの現状をまず調べなければ」と始め、多くの仲間の賛同を得た。この春には鎌倉市材木座の現存最古の築港遺跡・和賀江島の生物355種を紹介するパンフレットも作成。地元の美しい海を次世代に残そうと奔走している。
楽しい磯遊びの場で
無数の石が広がる干潮の和賀江島。石のはざまの水中で、カニやヤドカリ、魚が顔を出す。「石があるとたくさんの生物が暮らせる。海にいると、時間を忘れちゃうほど楽しい」。大久保さんは無邪気に笑う。
国指定史跡の和賀江島は鎌倉時代の貿易拠点。石を積み上げ造られた港の当時の姿はないが、潮が引くわずかな時間に築港跡の石が姿を見せ、磯遊びの場として親しまれている。
「都心から近く多くの人が訪れる海に多様な生物がいると伝え、環境を大切にする意識につながれば」
小坪の開発構想を機に
海の環境守るため奔走 生物学者・大久保奈弥さん@和賀江島
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パンフレットを手にする大久保さん=鎌倉市材木座 [写真番号:624891]
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確認できた生物を、一部写真を交え伝える20ページほどのパンフレット「和賀江島355」 [写真番号:624893]