
江戸時代後期に編さんされた神奈川の地誌に関する基本資料「新編相模国風土記稿(しんぺんさがみのくにふどきこう)」について、国立国会図書館(東京都千代田区)所蔵のものが原本である可能性が高いことが研究者の調査で分かった。
原本の存在はこれまで定かになっておらず、識者は「精査が必要だが、原本が確認されれば意義は大きい」としている。
原本の存在を提唱するのは秦野市出身の山岳宗教研究者・城川隆生(きがわたかお)さん(62)。
同記稿は、江戸幕府直轄の昌平坂学問所に付属した地誌調所が編さんし、天保年間の1841年に成立したとされる。官撰(かんせん)の地誌として、現在の神奈川県の成り立ちを研究する上で重要な史料となっている。
蔵書印に注目
「新編相模国風土記稿」 国会図書館所蔵が原本の可能性
国立国会図書館所蔵の「新編相模国風土記稿」の大住郡に関するページ。右端の縦長の蔵書印が「編脩地志備用典籍」で、原本の可能性を示す。左端は「陸軍文庫」の蔵書印 [写真番号:480897]
城川 隆生さん [写真番号:480900]