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当たり前の日常、絵に込めて 横浜・大口駅に児童画

話題 | 神奈川新聞 | 2020年12月31日(木) 17:41

コロナ禍の中、ありふれた日常の尊さに思いをはせて絵画を描いた横浜市立西寺尾小5年2組の児童

 祖父母宅への帰省に、家族で囲む鍋、餅つき大会…。横浜市神奈川区の市立西寺尾小学校の児童が描いた絵画が最寄りのJR大口駅構内に掲示されている。コロナ禍が生活全般に影を落とす中、アートの力で元気を届けたいとの思いで、児童が筆を執った。これまで当たり前だった年末年始の一こまを切り取った作品。ありふれた日常を取り戻す困難を知る今、何げない日常の尊さをかみしめる展示にもなっている。

 描いたのは同小5年2組の30人。2人1組で15作品を制作した。

 きっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大で余儀なくされた分散登校が終わり、久しぶりにクラス全員が顔を合わせた6月。再開を喜び合う児童に、担任の笠本健太教諭(38)が問い掛けた。「コロナ禍でみんなが苦しい思いをしている。私たちにできることって何だろう」

 学校行事をはじめ、楽しみにしていたイベントなどは自粛となり、よく利用する店舗も閉まったまま…。子どもたちも敏感に「非日常」を感じ取っていた。

 みんなで知恵を出し合う中で「地域を元気づける絵を描いて、多くの人に見てもらえる場所に飾ろう」と決めた。掲示場所は最寄りの大口駅を選定、掲示してもらうための交渉も児童が担った。同駅の北野純子駅長は「子どもたちの地域を元気づけたいとの気持ちがあふれるように伝わってきた。明るい絵が並ぶことで駅利用者も楽しんでもらえると思った」と快諾した。

 絵画のテーマは「冬ならではの楽しみや風物詩」にした。自分たちが絵の中で楽しんでいるように、元気に、色彩豊かに描くのを心掛けた。かまくらづくり、年越しそば、初詣…。いつもは家族や友達と楽しむはずだが、今はそれが難しい。それでも一日も早く感染症を克服し、笑顔で気兼ねなく過ごせる日常を取り戻せることを願って、納得いくまで描き直して仕上げた。

 展示は同駅東口渡線橋で、年末版と年始版の2回に分けて今月23日から始まり、来年1月12日まで行う。

 冬の定番の鍋料理を家族で囲む風景を描いた女子児童(11)は、室内のぬくもりを表現するために赤い輪をちりばめた。「感染症のことを気にせずに過ごせる、ほっこりとした世界を表現したかった」。子どもたちの絵を立ち止まって眺めた女性(82)は「今年はコロナで大変だったけど、明るい絵ばかりで元気をもらえる。新年はこの絵のような日常を送りたいですね」。

 笠本教諭は、逆境に立ち向かうことで子どもたちがたくましさを増したと目を細める。「苦しんでいる人のことを思い、子どもたちが主体的に動いた。厳しい1年だったからこそ、感じられた成長がある」

 
 

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