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識字障害ある髙梨さんが本出版 ドローン操縦で活躍、起業も

話題 | 神奈川新聞 | 2020年9月7日(月) 11:25

著書「文字の読めないパイロット」とドローンを持つ髙梨智樹さん=厚木市中町の市立中央図書館

 知力や会話に問題はないのに、文字の読み書きが困難なディスレクシア(識字障害)というハンディがある厚木市戸室の髙梨智樹さん(21)が、ドローンの操縦者(パイロット)として活躍している。2016年には国内大会で優勝し、中東・ドバイの世界大会に出場。現在は父親とともに起業し、ビジネスの空撮と、ドローンのレースで腕を振るう。苦手な読み書きをパソコンや音声読み上げソフトで補い、未来を切り開いてきたこれまでを本にまとめ出版した。

 「文字の読めないパイロット 識字障害(ディスレクシア)の僕がドローンと出会って飛び立つまで」(イースト・プレス、222ページ)。出版社の担当者がインタビューした内容をまとめた。4冊を同市に寄贈し、市立中央図書館で貸し出されている。

 髙梨さんによると、平仮名は頑張って覚えたが、片仮名は苦手。漢字は読むことも意味を捉えることも難しい。「文字は見えているが、意味がわからない感じ」と説明する。

 体が弱く、小学校にあまり登校できなかったため「勉強できないのは自分の努力が足りないから」と思い込んでいた。だが、中学の時に識字障害と診断され「原因がはっきりし、もやもやが晴れていく感じがした」という。

 文字を読むのは苦手だが、音声読み上げソフトで聞くとしっかりと頭に残った。聴覚に優れ、通常の3~4倍速で聞き取れる。

 小学生の頃、父の浩昭さんの趣味のラジコンのヘリコプターに触れたのが、空への興味の始まりだった。やがて動画サイトでドローンを知り、海外から部品を取り寄せて組み立てた。機体に搭載したカメラの映像をゴーグルで見て操縦するドローンは、自らが空を飛ぶ感覚が魅力だった。

 高校2年の時、千葉県内で開かれた国内の大会に初参加し、いきなり4位に。それまで知らなかった「勝てる」感覚を味わった。数カ月後の16年2月、慶応大湘南藤沢キャンパスで開かれた世界大会の日本予選で見事に優勝し、日本代表に。ドバイでは世界トップとの実力差を思い知らされたが、機体の改良など大きな成果もあった。

 高校卒業を控え、大学進学はせず起業を決意。サラリーマンだった父の浩昭さんは髙梨さんを応援するため、一大決心で勤め先を退職、起業した「スカイジョブ」の社長に就任した。親子で背水の陣の挑戦だったが、放送局などからの空撮の依頼や、橋の老朽化のチェックの仕事など、ドローンの需要は広がっているという。レースで鍛えたテクニックは困難な仕事を受注できる実力となっている。

 昨年6月、TBS系ドキュメンタリー「情熱大陸」で取り上げられ、初めてディスレクシアを公表。同じ障害の人たちからたくさんの反響があった。

 トップクラスのドローンパイロットでありながらも、髙梨さんのさらに大きな夢はドクターヘリのパイロット。多くの人の支援を受けてきたことを思い「少しでも人の助けになりたい」という願いからだ。一歩ずつ、大きな夢へ歩みを進めようとしている。

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