船舶に液化天然ガス(LNG)を燃料として供給する「LNGバンカリング拠点」を横浜港に設置することを目指す官民の団体が9日、発足した。近年、国際的に船舶の排出ガス規制が強まっており、重油に変わる燃料としてLNGに注目が集まっている。モデルケースとして横浜港に拠点を整備することで、国際海上輸送における東アジアの要所として日本の港湾の存在感を高めたい考えだ。
発足したのは、「横浜港LNGバンカリング拠点整備方策検討会」。国土交通省を事務局に、日本郵船や東京ガスのほか、横浜・川崎両港を一体運営する官民出資会社の「横浜川崎国際港湾」、横浜市など7組織で構成される。
背景には、船舶の排出ガスに対する規制強化の議論が近年、世界的に活発化していることがある。重油よりも環境性に優れるLNG燃料船の導入を検討する動きも各国で出ており、その受け入れ体勢の構築を急ぐことは「今後の港湾機能向上の観点から重要性が極めて高い」と国交省幹部は話す。
そうした中、地の利から横浜港に白羽の矢が立った。同港は国の「国際コンテナ戦略港湾」の一部であるほか、日本郵船が国内初のLNG燃料タグボートを作業に従事させており、近隣にはLNG基地もそろう。
さらに南本牧ふ頭(横浜市中区)には世界クラスのコンテナ船にも対応可能な国内唯一の大水深・高規格コンテナターミナル「MC-3コンテナターミナル」があり、将来の利活用が多く望めるという。
同日開かれた第1回検討会で座長に選ばれた松良精三・同省国際コンテナ戦略港湾政策推進室長は「横浜港をモデルに、国内初のLNGバンカリング拠点形成のための検討を進めたい。(実現することで)アジアにおけるLNGバンカリング拠点の形成にもつなげていきたい」と話した。
検討会は今後、月1回程度の頻度で開催され、年内にも整備計画をまとめる。