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米大統領選指名争い佳境 識者2人にインタビュー

国際 | 神奈川新聞 | 2016年5月23日(月) 16:25

 米大統領選の候補者指名争いが佳境を迎えた。民主党ではクリントン前国務長官がサンダース上院議員をリードし、共和党では実業家のトランプ氏が主流派を抑えて指名獲得を確実にしている。11月の本選に向けた注目点や在日米軍駐留などへの影響を、日米の有識者2人に聞いた。

本選の焦点は接戦州 


米メトロポリタン州立大准教授 マシュー・フィルナーさん


Matthew Filner氏
Matthew Filner氏

 -共和党ではトランプ氏の候補指名獲得が確実だ。

 「移民などに関する訴えが大学教育を受けていない白人層を引きつけた。当初の共和党候補17人のなかで彼を首位に押し上げるには十分な支持層だったが、本選では有権者の多様性が増し、大卒者も増える。支持層を広げられなければ、トランプ氏の勝利は難しい」

 -物議を醸すトランプ氏の発言には、在日米軍撤退なども含まれている。

 「彼の政策面の姿勢はすべて交渉可能なものだ。ただ制度上、米大統領は内政では制約を受ける半面、国際問題では大きな自由を与えられている。『トランプ大統領』が外交方針を追求すれば不安定要因になる」

 -最近はクリントン、トランプ両氏の支持率が拮抗(きっこう)しているとの調査も出た。

 「1960~70年代には共和、民主両党の間で有権者の支持が大きく振れていたが、今では米国の有権者は分極化しており、大きな揺れは起きないだろう。選挙によって勝利が入れ替わり、両氏のいずれにも勝機のある接戦州の動向が注目点だ。男女間でも支持に差がある。クリントン氏は男性、トランプ氏は女性からの支持の上積みが重要だ」

 -米国社会の分裂は選挙戦にも表れているのか。

 「30年前には『共和党リベラル派』や『民主党保守派』と目される大きな浮動票があったが、今では消えた。平均的な民主党員ではさらにリベラル化、共和党員は保守化がそれぞれ進んでいる。その結果、選挙結果は投票の出足で決まりがちだ。政党にとっての最善策も、支持者に投票を促すことになっていて、対立政党の支持者を奪うアピールではなくなっている」

Matthew Filner フルブライト招へい講師として横浜市立大などで講義中。米国で選挙マネジャーの経験も豊富。

日本は外交の多元化を


拓殖大教授 川上高司さん


川上高司氏
川上高司氏

 -民主、共和両党の指名争いをどう分析するか。

 「両党とも、内部では富裕層と貧困層の戦いになっている。少数派のエリートが多くの富を握っている実態を、民主党のサンダース氏は突いてきた。共和党のトランプ氏が指名獲得を確実にしたのも、そうした不満を取り込んだからだ。クリントン氏が民主党の指名を得たら、サンダース氏の支持層がトランプ氏に流れる可能性も否定できない。クリントン氏自身もメール問題で弱点を抱えており、本選の勝負は五分五分だと思う。両党の指名候補が今後、副大統領候補に誰を選ぶかが、結果に大きく影響するだろう」

 -選挙結果が国際関係に与える影響の展望は。

 「民主主義を広めるという従来のイデオロギーが変わり、米国流の『ブルジョア層との戦い』が始まったのかもしれない。内向き志向も加速し、覇権を求める意思が薄れているようだ。米国が防衛費を削減しつつ同盟国に多くの役割を求めていく趨勢(すうせい)には、共和党と民主党のどちらが本選で勝ったとしても、変化はないだろう。クリントン氏が当選すれば当面はオバマ路線が踏襲されるが、トランプ氏なら中国との取引を目指す可能性もある」

 -在日米軍撤退に関するトランプ氏の発言を、日本はどう受け止めるべきか。

 「横須賀に配備された空母などの米第7艦隊にはトランプ氏でも手を付けることはできないだろうが、海兵隊や空軍の削減は考えられる。同盟相手の米軍の力が弱まれば、日本には自主的な安全保障政策の強化が求められることになる。外交の多元化やソフトパワーの強化が必要だ」

かわかみ・たかし 防衛研究所主任研究官などを経て現職。専門分野は米国政治・安全保障政策、日米関係など。

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