
1947年2月から3月にかけて、中国国民党軍によって2万人以上が虐殺された台湾の「2・28事件」。汚職根絶や自治を求めただけで殺害された被害者は、事件の1年半前まで日本国籍の人々だった。だが日本では事件はほとんど知られていない。父と兄を失った元日本大学教授の潘英仁さん(86)=藤沢市=の悲しみは75年経ったいまでも癒えることがない。
潘さんは家畜の伝染病の研究者だ。台湾一の名門、台湾大を卒業後、東京大大学院に留学。その後、アフリカのリベリアに渡り、家畜の伝染病対策に従事した。1987年、日大農獣医学部(藤沢市、現・生物資源科学部)の助教授に就任以来、同市内に住む。現在は台湾に里帰り中。新型コロナウイルス禍の入出国制限のため、藤沢の自宅に帰れずにいる。
チャンバラにあけくれた
2・28事件75年(上)台湾人の抗議と混乱、兄は犠牲に
2・28事件について語る潘英仁さん=2021年7月、藤沢市内 [写真番号:1025114]
2・28事件で殺害された潘英仁さんの兄・英哲さん(潘さん提供) [写真番号:1025115]